14、本当のところ、親友達は何者なのか。

「くっついてるのかなぁ?」
 ある日、尋ちゃんがそう言った。ここは理系校舎。PCルーム使用後、教室に戻る為、三人で歩いている最中。理系クラスと文系クラスに交流が無くても、こうして理系校舎に来ることは、実は結構ある。言うまでもないが、同じ学校なのだから基本的に出入りは勿論自由だ。
 で。尋ちゃんはPCルームを出て言った。「くっついているのかなぁ?」。
 ちなみに、この前に会話はない。主語がない。何の事やら、誰に言ったのかすら分からない。無い無い尽くしの疑問文。
 くっついてる? 何のこっちゃい。と、あたしは思う。けれどテレパシー仲間の康子ちゃんは、迷うことなく返答した。
「さぁー。ま、関係ないんじゃないの? 誰が何と言おうと、事実それと変わりないんだからさ。そう思ってて良いと思うよ?」
「そうかぁー。ま、そうだね」
「・・・?」
 何だろう。この変な空気。本当に、ただの女子高生なのだろうか? この二人は。どっかの星から来てるとか、もしかしたら機械とか、そう言うオチがこの先に待ち受けているのだろうか? 二人の間に挟まれ、二人の顔を見比べ、真ん中にいるのに存在を認められていないあたしは、首を傾げながらそう思う。
「どうするのかなぁ?」
「さぁー」
「康子ちゃんは?」
「予定なし。尋ちゃんは?」
「ある訳無いじゃん」
「・・・」
 何だ。何なんだ、この二人は。何のことを話しているんだ。どうして、そんなことが出来るんだ。どうして、あたしを無視するんだ。
 もやもやもや。あーん、もどかしい。っていうか、あたし見えてる? 二人とも、あたし見えてるー!?
「って言うかさぁ。あたし、見てみたいんだよねぇ」
「あ、そっか。尋ちゃんは知らなかったんだよね」
 どうやら見えてないらしい。話を振ってくれるところか、こっちを見もしない。真ん中にいるのに。どうなっているんだ? 何かが起こっているのか? この二人の間で。
 と思っていたら、事態は急展開した。
「じゃあ、今から見に行く?」
 そう言って康子ちゃんは百八十度回転すると、あたしの腕を腕に絡ませた。
「そう言ってくれると思ってた」
 そう言って、尋ちゃんも回転。ニヤリと笑うと、あたしの腕を掴む。
 ・・・訂正。どうやら見えてはいたらしい。
「ほえ?」
 と、思う暇もなかった。あたしは急に逆行することになる。
「わたたたた」
 二人に引っ張られるまま、背走した。とととと、と、足がもつれて転びそうになるが、主に力のある尋ちゃんに引っ張り上げられるように引っ張られているため、何とか転げずには済んだ。感謝? するわけがない。
「ちょ、ちょちょちょっ」
 何処行くの? 何で連行なの? せめて前を向かせて。危ない危ない危ない。わわわわわわわ。
 こんなに一生懸命テレパシーを送っているのに、二人は完全に無視である。どうやら、あたしとの間にはパイプが繋がっていないらしい。というか、声を発しているにもかかわらず見事なまでに無視をして、二人は話したいことを話している。
「何組だっけ?」
「A」
「っかー。特進か。凄いね」
 A? そこでピクリと来た。早月のクラスだ。
 ちなみに、うちらは二組である。文系は数字なのだ。英語の方が格好いいのにー。と思う。そして、早月めっ。と方向転換していくのである。
 しかし、今は早月を怒っている場合ではない。
「ちょっと! ちょっとぉ!?」
 あんたら何をしに行くつもりー!? 抗議の意味も含めて叫ぶ。
 しかし二人は完全に無視だ。驚いて反応したのは、罪もない理系クラスの人達だけ。ははは、恥ずかしいーっ。
「ってことは何? 康子ちゃんの知り合いもAなの?」
「そ」
「凄いじゃん」
「そこまで努力してるからね。家庭教師に予備校」
「ほほう。誰かさんみたいに悪環境ではないわけだ」
「・・・悪環境・・・」
 それって、あたしのこと? と聞こうと思ったが、やめておいた。聞いたら多分、無視されるか傷付く答しか返ってこないだろうから。ああ、やるせないー・・・。
「そ。家族ぐるみで頑張ってるんだから」
「二家族協力して邪魔しているのとは訳が違うのね」
「き、協力して邪魔してる訳じゃ・・・」
「そゆこと。さ、着いた」
 あたしの代わりに返事をして、康子ちゃんはあたしの腕を放した。尋ちゃんの手も放れる。つまり、止まった。
 ・・・止まったと言うことは・・・。
「着い・・・」
 げーっ!
 慌ててドアの上にある教室の名前を見る。「二のA」。はい。間違いなく早月のクラスです。ぎゃーっ。





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